TEARS


スポンサー広告

スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

ひとみ系創作」
オレと君の行き着く先

オレと君の行き着く先

2006.09.05  *Edit 

その朝は、何かがいつもと違っていた。

オレはいつものようにそれほど爽やかとも言えない朝を迎えていた。
まだはっきりしない頭とうまく動かない体をベットから引き起こし、バスへと向かう。いつもとなんら変わらない朝だ。
だが。
おかしい・・・。
いつもなら、鬱陶しくなるほどの騒がしさで起こしに来るはずのマリナが、今朝はまだやってきていなかった。
おおかた食堂のテーブルの前で、2度目の朝食でもとっているのだろうと思い、オレは手早くバスを済ませると、身支度もそこそこに食堂へと向かった。


食堂の扉を開けるとやはりマリナはそこにいた。
ほんの少しの安堵感を覚えながら食卓につくとマリナはさっと立ち上がり、メイドたちの使う出入り口から食堂の外へと出て行く。
何なんだ今の態度は・・・。
オレはその様子に苛立ちを感じたが、そのまま食卓につき、マリナを待つことにした。
マリナが『待ってて。』と言い残していったから。

ほんの少しの間をおいて、マリナは戻ってきた。
手にトレーに載せられた器を持っている。

「シャルル!はいっ!」

マリナは満面の笑みを浮かべて、トレーから器を持ち上げ、オレの目の前に置いた。

「マリナ。・・・・これは何だ?」

思わず問いかけたオレの言葉に、マリナは意味がわからないと言うような顔で当然のように答える。

「何って、お味噌汁じゃないの。」

マリナの答えに、オレは力が抜けるのを感じていた。
味噌汁。それはわかる。解らないのは何故その『味噌汁』をオレの前に置いたのかということ、だ。

「その『お味噌汁』とやらを何でオレの前に置くのかな?・・・マリナちゃん?」

少々の皮肉を込めて告げた言葉にマリナはひるむことなく、どちらかと言えば楽しそうに理由を話し始めた。

「あのね!昨日ジルと出かけたでしょう?でね!その時に偶然日本食材のお店をみつけたのよっ。で、シャルルにも何か日本の味を食べさせようって思って!」

ニコニコと少し興奮気味のマリナにオレはますます脱力感を感じた。目の前の『味噌汁』と、マリナの顔を見比べ、さらに体から力が抜けた。

「マリナ。もしかしてこれは、君が作ったのか?」

問いかけの言葉に、確信を込めながらマリナの顔を見つめる。

「そっ、そうよっ!だって・・・、作ってくれる人がいなかったんだものっ!あたしが作るしかないじゃない!」

顔を真っ赤にして少し怒ったように一気にまくし立てるマリナに、湧き上がるような愛しさを覚えた。
だが・・・、それとこれとは話は別だ。

「ふうん・・。君の、その努力は認めてもいい。だけどマリナちゃん、これは食事とは言わない。あまりにもひどすぎる。」

オレはそばに控えていたメイドを呼び、すぐに朝食を用意するようにと告げた。

「ちょっと!それってどういうことっ!」

顔を真っ赤にして、マリナが怒り出す。
オレはそ知らぬふりをして、用意されていた紅茶を口に運んだ。

「あっ、そう!わかったわよっ!どうせあんたみたいなブルジョアの口になんか合わないでしょうよ。あんたはあたしみたいな庶民とは違うんだものねっ!!」

マリナはダンッとテーブルをたたき、怒って食堂を出て行った。
まったくもって、理解に苦しむ・・・・。

オレは、やがて運ばれてきた朝食をとりながら、傍らによけられた『味噌汁』を眺めた。
メイドはなぜかこの『味噌汁』を片付けようとはしなかった。
漆塗りの汁椀に入れられた『味噌汁』からは暖かそうな湯気が立ち上っていたが、どう見ても食欲をそそるような代物ではなかった。
だが。
あのマリナが、料理をした。
その料理を、オレに食べさせようと思った。
その事実は賞賛に値するべきものかも知れない。

そして、「あたしとはちがう」と言ったマリナの言葉が、頭の中に響いていた。
マリナの中にある、オレ自身の存在を否定されたような気がした。

知らず知らずのうちにオレは『味噌汁』に手を伸ばしていた。
もう冷めてしまった『味噌汁』は、オレとマリナの関係を予見するもののように思えた。
オレとマリナの行く末は交わってはくれないのだろうか。

オレは覚悟を決めて、その『味噌汁』を口にした。あらゆる可能性を考えて、今常備されている薬品が頭の中に浮かんでは消えた。最悪、今日は仕事にならないかもしれない。

けして食欲をそそる見た目とはいえないその『味噌汁は』どこか郷愁を呼び覚ますような味がした。

「もう少し見た目にもこだわってほしいもんだね。マリナちゃん?」

オレはマリナの出て行ったドアに向かって一人つぶやいていた。
マリナの作った『味噌汁』には、だしをとったものだろう煮干がそのまま入っていたのだ。
いったいこの煮干を、オレにどうしろと言うのだろう・・・。
まさか・・・・、食べさせるつもりだったのだろうか。
そういえばマリナはいつも『何だって時間さえかければ食べられるようになる』と言っていた。
そんな昔のことを思い出し、オレは一人でクスリと笑った。
いいさ。今回は君の価値観に歩み寄ってやるとしよう。
オレとマリナの行く末を一本の道にするために、オレは生まれて初めて『味噌汁』に入れられた煮干を食べた。


※※ あとがき ※※
キリ番をGETしてくださったいりこ様のコメントの中の『煮干を食す白金の君』と言うシチュに、思わずこんなお話を書いてしまいました・・・。
何を書いているんでしょう、私。
一応ギャグのつもりだったんですが、それも何だか微妙なお話に・・・(汗)。
でも載せちゃいます♪
シャルルに煮干を食べさせてしまうマリナ。あなたは最強です!

スポンサーサイト


*Edit TB(-) | CO(7)

~ Comment ~

 

アハハ~~♪
煮干を食べるシャルル最高です!
きっとマリナも煮干ごと無くなった味噌汁を見て満足することでしょう!
てぃあさま、楽しいお話アリガトウございます☆

 

こんばんは^^
初カキコさせていただきます!
ブログ開設おめでとうございます(^▽^*)
  ↑かなり遅い挨拶ですが…

飛んできたら可愛らしいシャルマリを見ることが出来てラッキーですっ♪(/▽\)

煮干で1本になる関係…
私もそんな素敵な関係を築きたい…(笑)

 

わはっ!
煮干を食す白金のプリンス in アルディ家朝の食堂!
なんと~~~。

マリナってば、愛のこもった『お味噌汁』を作っちゃうなんて・・・意外に男殺し♪
なのに「これを食事とは言わない」ってシャルルあなた・・・、ジルに怒られるよっ。

「煮干を食べるシャルル」の一言から生まれた小編、楽しかったです!
キリリクの方も楽しみにしてますね。

 

ぎゃっはっは~~!!!ほんとに食べられてしまいました~☆噛むほどに味わい深くて、意外とおいしかったでしょ?!シャルル(^^)♪♪

てぃあ様、すごいです、私のあんなおバカな戯れ言からこんなに楽しいお話を作ってしまうなんて!ありがとうございます★★
しかし何でも言ってみるもんだなぁ、なんて勘違いしてしまいそうですよ~?ほら、あそこの朝御飯には文句なく(?)似合いそうです、庭の片隅に牡丹がぽたっと…
…ごめんなさい。忘れて下さいませ。

ところでキリリク…あれで差し支えございませんか?

 

どうもです~♪

>ガーネット様。
煮干を食べるシャルル、なかなか見られるものではありませんねっ!
アレもコレもマリナへの愛ゆえ、でございます。

でも・・・、笑っていただけてよかった(ほっ)。

>しゃさ様
どうもです~♪
お越しいただきありがとうございます!
可愛いシャルマリと言っていただけてとってもうれしいです。

煮干で一本になるって一体どんな関係なんでしょう?
謎です(汗)。

またいつでもお立ち寄りくださいませv
お待ちしております。

>135様。
笑っていただけましたか?
『煮干はそのままで!』と言ったマリナは、シェフに『それは作れない』といわれてしまったようですよ?
ちなみに私もそんな『お味噌汁』は頂いたことがありません(笑)
マリナ、恐るべし!

>いりこ様。
いりこ様のコメントを受けて書いたこのお話、いかがだったでしょうか?
シャルルは煮干をどこから食べたんでしょう?
いりこ様、痛く無かったですか?(笑)

きゃあ~~~!
に、庭の片隅に牡丹がぽたっ?どこかで聞いたような・・・・・・(汗)。
ハイッ、忘れさせていただきます・・・(逃げッ)

キリリク、確かに承りました!
ただ今妄想中ですので、しばらくお待ちくださいませv




 

てぃあさま、こんばんは。
シャルルが煮干を食べてる~~~。

普通なら食べませんよね。
でもマリナの作ったものだから
マリナを愛してるからこそできたことなんですよねぇ。

はぁー、いいな。こんなに愛されて。
マリナは本当に幸せものですね。

 

>まーみ様。
どうもです~♪

煮干、食べさせてしまいました(笑)。

いりこ様の『煮干を食べる白金の君』というコメントから、思わず『食べる小魚』をバリバリ食べている姿が浮かんでしまったんですが、さすがにそれはまずいだろうと・・・。

今回のお話はずばり『彼女の料理をまずいといえずに笑って食べる彼氏』です(笑)
付き合いはじめにはありがちなパターンでございます・・・(汗)

愛、ですねぇ。(遠い目)
でもあまりのひどさに、そのうち料理の家庭教師でも付けられちゃうかも。

コメントありがとうございました~♪
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。