TEARS


スポンサー広告

スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

ひとみ系創作」
桜の記憶

※ 桜ふたひら ※

2007.06.24  *Edit 

※ 桜ふたひら ※

桜が咲くと春ってかんじよね。
なんだか気持ちまでピンクになっちゃうようなそんなウキウキする感じ。
でも、ソメイヨシノが綺麗に咲いているのってほんのちょっとの時期なのよね。
あんなに桜の咲くのを楽しみにしてたのに、満開になってから散っちゃうまでってすごく短い。
ちなみに。・・・今は桜はもう散っちゃって、緑の柔らかそうな葉っぱがいっぱい茂ってる。
あんなにピンク一色だった空も今はもう新緑の緑色に取って代わられて、青い空と緑の葉っぱがさわやかな雰囲気を醸し出してる。

「おや?マリナちゃん、こんな所にいたのかい?」

校庭の片隅の石の上に座ってスケッチをしてたら悪友・響谷薫が顔を出した。
響谷薫。
ま、一言で言うなら身長180cm体重70kgの男装の麗人。そしてバスケット部のエース。あたしをしょっちゅうからかってくる悪友よ。
あら?一言じゃなかったわね。まぁいいか。
バスケの練習の途中なのか、あたしを覗き込んだその秀でた額にかかる褐色の巻き毛は汗に濡れていて、その長い前髪から覗く大きな瞳の、なんとも艶っぽかったこと!あたしは思わずぽかんと口をあけて見つめてしまって、おまけによだれまでたらしてしまった。

「こらこら、いきなり物欲しそうな顔するんじゃないよ。」

物欲しそうだなんて失礼な!あたしはただ美しいものに弱いだけよ。見た目は完全に美男子のあんたが悪い。そう思ってにらみつけてやると薫はにやっとシニカルに笑った。うっ、こいつがこういう笑いをするときにはろくなことがないのよね。

「・・・そういう顔は日が落ちてから、ベッドの中でするもんだぜ。何なら今夜うちに来るかい?そういう顔をするとどうなるのか、朝までかかって教えてやろうか?」

薫はあたしの耳元で吐息混じりにそう囁くと、甘やかな光を湛えた瞳でじっと見つめてきた。その余りの色っぽさに、あたしは思わず『うん!』と言って付いていきそうになってしまった。でもあたしはきっと異常なんかじゃないわ!
このとても女とは思えないお祭り好きの悪ノリデカ女がおかしいのよ。
ええい!あたしをサッフォーの禁断の愛の園に誘うんじゃない、このバカ薫!

あたしが力一杯にそう訴えるとこともあろうに薫の奴ったらお腹抱えて大笑いしやがったのよ。
全く腹が立つったら!

「・・・八重桜か。」

怒りの覚めやらないあたしに目もくれず、薫は描きかけのスケッチブックの中を覗き込んで言った。
どうやら薫はあたしの絵についてはバカにする気は無い様で、あたしもなんだかちょっとバカらしくなってきて怒りを納めた。そうよね。こんなのにいちいち付き合ってたら、時間の無駄だものね。あたし、無駄って嫌い。もったいないもの。

「うん、あたし、八重桜って好きなのよね。だって花びらが一杯だし、濃いピンク色が凄く綺麗じゃない。」

周りのソメイヨシノがみんな葉桜になって、緑の葉っぱばかりを茂らせている中で、この八重桜だけがたくさんのピンク色の花をつけていて、この校庭の片隅で、木全体が浮き上がって見える。

「ああ、確に綺麗だね。でも・・・、あたしにはちょっと切ない感じがするよ。」

薫はその綺麗な顔に憂いを含ませてちょっと皮肉気に笑った。
薫の表情は本当に切なそうで、何処か遠くの記憶を呼び起こすようなそんな表情をしていた。
桜に何か嫌な思い出でもあるのかしらね。後で聞いてみよう。

「お前さん、八重桜の花言葉って知ってるかい?八重桜の花言葉はね、『理知なる教養』だ。全くもってお前さんには縁のない花だな。」

桜に何か嫌な思い出でもあるのかと思って心配してあげてたのに、薫のやつそう言ってカラカラと笑ったのよ!
まったくほんとにいちいち突っかかってくるわね。がうっ!
でもまあちょっと考えてみれば、確かに教養だなんてあたしにはちょっと縁遠い言葉だわ。でも、花言葉を知ったあとで改めて八重桜をみてみると、なんだか八重桜の木が賢そうに見えてくるから不思議よね。
あれ?なんだかこんな事、前にもあったような気がするんだけど・・・。

「おい、お前さんどうしたんだい?」

あたしが反論してこないので変だと思ったんだろう。薫は隣に腰を下ろすと、バスケのユニフォームの襟元で汗を拭った。

「ん、前にもこんな事があったような気がするのよね。えーと、何時だったかなぁ・・・。」

暑そうに襟元をパタパタさせている薫を横目に見ながらあたしはピンク色の記憶をたぐり寄せた。

あれはたしか、小学二年の春。名古屋での事だ。お父さんの仕事のせいであたしは転校が多い。今の学校に来たのだって半年ほど前になる。ま、ここは今までに比べたら割と長い方だけど。濃いピンク色の花びらが風に散らされて降り注ぐ中、あたしは思い出をたぐるように話し出した。

名古屋の小学校に転校した最初の日は、学校に良く植えてあるソメイヨシノが散り始める頃だった。
そこで出会った、一人の男の子。
『姫宮美女丸』なんて虫も殺さないようなおとなしい名前の割には、初対面のあたしに対して『すっげぇ、チビ』なんてむかつく言葉をのたまうような喧嘩っ早い奴だったっけ。

そいつは元々喧嘩っ早い短気な奴だったんだと思うけど、一緒に過ごした小2の一学期の間の喧嘩相手は十中八九あたしだった。だってね!何かと言えば突っかかってくるのよ!そいつ!

そういえば、転校してしばらくたって、図工の時間に近所の神社に写生にいった事があった。



「は~い。今日はいいお天気で良かったわね。先週言った通り、神社に写生に行きます。じゃ、画板と写生道具をもって校庭にでますよ。」

担任の女の先生が大きな声でみんなに声をかけた。あたしは絵を描く事、特に外でスケッチするのが大好きなのよね。だからつい気持ちがウキウキして、すばやくスケッチの道具を抱えると一番に教室を飛び出した。
春の校庭は爽やかな空気がいっぱいですごく気持ち良くて、今日みたいないいお天気の日に窮屈な教室の中に居なくてすんで良かったって思った。
そんなこんなで春の空気を満喫していると、やがて先生や、クラスのみんながやってきて、わいわい言いながら神社に向けて出発したの。
写生をするっていう神社は本当に学校のすぐ近くで、引っ越してきたばかりのあたしにはちっともわからないような小さな神社だった。
神社の境内に入ると、皆は先生の指示に従って、それぞれに気に入った場所を見つけて写生を始めた。でもそこはまだ小学2年生だから鉛筆よりおしゃべりする口の方がよく動いていて、一向に写生ははかどっていなかった。
あたしはどこを描こうかとうろうろしていたのだけれど、ちょっとクラスの皆から離れた所にある桜の木が気に入ってしまったので、そこに腰掛けてスケッチすることにしたの。
いい天気であったかくて、大好きな絵が描けて。ず~っとこんな授業ならいいのにな。



「おい、帰るんだってよ。」

つい夢中になってスケッチしてしまって、クラスの皆が集合しているのに気づかず、急に声をかけられた。びっくりして振り向くと、そこに姫宮美女丸が立っていた。
どうやら呼びにきてくれたらしい。

「あ、もうそんな時間?ありがと、呼びにきてくれて。」

あたしはお礼を言ってスケッチブックを閉じた。クラスの皆が集合している場所に行こうと歩きかけたとき、姫宮美女丸があたしの持っているスケッチブックを見つめて口を開いた。

「・・・八重桜、か」

あら?この桜って八重桜って言うのね。知らなかった。そう言えば、花びらいっぱいあるもんね。あたしがそういうと、姫宮美女丸は露骨に嫌そうな顔をした。なんだってのよ、まったく。

「お前、八重桜の花言葉って知ってるか?」

花言葉?あたしは即座にぶんぶんと首を振った。
そんなもん知るわけないじゃないの。花屋さんじゃあるまいし。

「八重桜の花言葉ってな。『理知なる教養』っていうんだってさ。」

そういった姫宮美女丸の顔はなんだかちょっと切なそうだった。
ふざけた感じで、『お前には関係ない花だな』なんて言ってさっさっと集合場所に行ってしまったけれど、あたしはなんだかその時の姫宮美女丸の顔が忘れられなかったのよ。





「ま、そんなことがあったわけ。まったくあんたって小学2年生と同じ思考回路してんのね。」

あたしは自分の思い出の中からゆっくりと現実に戻って隣に居る薫に声をかけた。
小学2年生と同じ言葉を言ったと知ったときの薫はきっとふてくされるだろうと思ったのに、薫はぜんぜん気にしておらず、それどころか『ふ~ん』といって何か少し考え込んで見せたのだった。

「そいつはあれだな。小さい頃から何か仕込まれてきたんだろうな。自分の意思なんかじゃなく、誰かの意思で知識を詰め込まれるってのは結構つらいんだぜ?」

薫はまた八重桜を見上げて切なそうに笑った。へぇ~。薫にも人の気持ちを思いやるなんていう芸当が出来るのねぇ。意外。
そう思ったあたしの心の中はきっぱりはっきり表情に出ていたようで、薫はゴインと人の頭を小突いた。
だって仕方ないじゃないの。根が正直者なんだから。

「それにしても、だ。マリナちゃんが食べ物がらみじゃなく人の事を気にするなんてお安くないね。もしかして初恋の男って奴かい?」

何言ってんのよ。あたしはね、前の学校でハーフの男の子に切ない片思いをしたのよ。きっとあれが初恋よ。うう、和矢、元気かしらね・・・。
あたしは前の学校で好きだった男の子を思い出して、ちょっと切なくなってしまった。

「その顔じゃ、前の学校の何とかって奴を思い出したみたいだけど、大体初恋ってのは5歳くらいから10歳くらいが一般的なんだ。ちょっといいな、気になるなって程度の淡い恋ゴゴロって奴さ。」

へぇ~、そうなんだ。薫から初恋談義が聞けるなんてすっごく意外だけど、そういうモンなのね。
薫はにやっと笑って、『そいつの切なそうな顔が忘れられなかったんだろ?』と言うと、バスケ部の練習に戻っていった。
あたしはもう一度、あの時の姫宮美女丸の切なそうな顔を思い出した。
なんだか胸の奥がちょっとだけ・・・、ツキンとした。

もしかしたらあれは・・・・。

『初恋』

ってやつだったんだろうか・・・。


*Fin*








※ あとがき ※

ミズキ様リクエストの第二話目をお送りしました。
今回はマリナ視点です。
いかがでしたでしょうか?

ミズキ様に頂いたリクエストは、

「マリナと美女丸の小学校時代」「マリナ視点と美女丸視点で。」
と言うものでした。

リクエストどおりに仕上がっているでしょうか?

今回のお話の私なりのテーマはズバリ『初恋』!
淡い甘酸っぱい感じがだせていると嬉しいですv

ミズキ様、素敵なリクエストをありがとうございました。
とっても楽しく書かせていただきましたv
スポンサーサイト


*Edit TB(0) | CO(4)

~ Comment ~

 

てぃあ様、こんにちわ★
“桜の記憶”拝読させて頂きました。
美女丸、いいですね…。
しかも小学生っていうのがまた新鮮で楽しませて頂きました♪
マリナちゃんの初恋が美女丸、って素敵ですね。
しかも二人とも数年後に気付くなんて、あの二人なら本当にそんな感じです。
素敵なお話ありがとうございました。
またお邪魔させて頂きます★
では♪

ありがとうございます! 

>ひろ様
お越しいただきありがとうございます♪
美女丸とマリナの小学生時代、言葉遣いでぜんぜんそれっぽくなくなってしまうので、ちょっと考えてしまいました。
新鮮と言っていただけて嬉しいです。
ミズキ様にリクを頂いてから、『そういえば、美少年ズのなかで一番最初に出会っているのは美女丸だった!』と改めておもいまして・・・。
ぜひまたお越しくださいませv
私もまたブログにお邪魔させていただきますね~♪

感無量です! 

てぃあさま

こちらへの感想が遅くなってしまって、申し訳ありませんでした。
事前に読ませていただいていたとはいえ、こうしててぃあ様の
ページに自分のリクエストしたものが載る、というのは
なんとも不思議な感じとともに、大感激です!
もちろんリクエスト通りです!いえ、それ以上です!!
素敵なお話、そして私なんぞのリクエストを叶えてくださり
本当にありがとうございました!
てぃあさんから頂いたテキストは私の宝物です!


ありがとうございます☆ 

>ミズキ様

コメントありがとうございます!
コチラこそ素敵なリクエストをありがとうございました♪
ミズキさんからのリクがなければ、小学生時代の二人を書くということを思いつかなかったかもしれません。
こういった自分では思いつかないようなお題を頂くことこそがキリリクを受けさせていただくする醍醐味と言えますよね!
喜んでいただけてよかったです。
お送りさせていただいたテキストはもういかようにもなさってくださいませ(笑)

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


⇒ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。